約 1,204,798 件
https://w.atwiki.jp/yokkun/pages/283.html
滑車を回して落ちるロープ オリジナル問題。滑車に巻かれたロープが,滑車を回しながら降下する運動。 【問題】(大学レベル) 質量 のロープが,質量 ,半径 の滑車に一端を固定してちょうど一巻きされている。他端をわずかに下に引いた静止状態から静かに離すと,ロープは滑車を回しながら下に運動を始めた。巻かれたひもがすべて解かれた瞬間のひもの速さを求めよ。ただし,重力加速度の大きさを とする。 ※ Algodoo の設定は, である。 【解答】滑車を回して落ちるロープ Algodoo シーン http //www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload act=open pageid=283 file=Chain%26Reel.phz
https://w.atwiki.jp/ktom/pages/57.html
作詞・作曲:toriko 唄:鏡音リン http //www.nicovideo.jp/watch/nm5861502 歌詞 古い塔の最上階 小さな窓 戦士たちの寝息を 階下に聞き きみがまぶたの裏に 描く景色は きっと真実よりも 色鮮やかで優しい 「海の向こう、 燃える花 月の夜、灯る島 茜に滲んでいく、藍の色」 だけどわたしが きみに告げる景色は きっと幻よりも 虚ろ儚くて不実で 風に散った白い羽 星の夜、落ちた鳥 緑に滲んでいく、 ‥‥ああ きみが空の鳥かごに 嘆かぬように わたしは そっとさえずろう、 あの鳥をまねて 「街の明かりが消えて 雲が月を覆う」 丘の向こうへ消えた 葬列は見ぬふり 戦場は今や遠く、 なのにきみは 今なお、騎士として 剣を携える 光も失くし 戦えもしないのに きっとまた あのコと笑う日を 夢見ているのね 「山の向こう、射す朝陽 白む空、雲の影 ——平和だわね」 なんて嘘ばかり きみが鳥のあとを 追いかけぬように わたしは そっとさえずろう、 あの鳥をまねて 守りたいのはあなた、 それとも嘘? わたしならわたしでも たやすく欺ける きみが空の鳥かごに 気づかぬように わたしは そっとさえずろう、 あの鳥をまねて 「街に明かりが灯り、藍が空を覆う」 そう、 真実よりも色鮮やかに 優しく 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/61156.html
【検索用 えっくたるとはっとおちる 登録タグ 2013年 UTAU え 曲 曲あ 浮世P 雪歌ユフ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:浮世P 作曲:浮世P 唄:雪歌ユフ 曲紹介 36K逃げるに如かず。 曲名:『エッグタルト、パッと落ちる』(エッグタルト、パッとおちる) 使用画像は「富嶽三十六景 礫川雪ノ旦」(葛飾北斎) 歌詞 エッグタルト、パッと落ちる そっと隅に投げて終了 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ つづきは後で 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ そのうち迷子 そんなことの くりかえし ストラップ、パッと決める そっと次をつけて終了 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ つづきは後で 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ そのうち迷子 そんなことは もう飽きた そんなことの くりかえし 冬に紛れて 音が途切れる ビルの谷間に 雪のひかり コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/lotro_jp/pages/1461.html
ワーグの手に落ちる 適正レベル:23 授与NPCの名前:ネイサン・ホッジス 授与NPCの所在:アモン・ライス 前提クエスト:先祖代々の家宝 派生クエスト:―― 授与ダイアログ 「頼みをきいてくれるか、 名前 ?アマリオンに頼もうとしたのだが、彼がアモン・ライスを離れれば、他の者を危険に晒すことになると言われた。多分それは本当だろう。だがそれも慰めにはならないが」 「ワーグが攻撃してきたとき、友人が俺の農場を訪れていた。ホビット庄のタック村というところから来たたくましい小さな奴だ。てっきり彼は俺のすぐ後ろにいると思っていたのだが、俺がピーク家と遭遇したときには、エイルワードはいなくなっていたんだ!」 「恐ろしい任務だが、アンヌーンディアの北部でワーグの犠牲者の骨をかき分け調べてくれないか?そこの古墳にはあらゆる獣のがうようよしている。お前が骨を幾らか持ち帰ってくれたら、ホビットの大きさの骨が見つかるかも…見つからない方がいいのだが!」 背景 ネイサン・ホッジスは彼を訪れていたホビットが、アモン・ライスへ避難する途中でワーグに攻撃されたのではないかと心配している。 目的 目的1 骨の山から骨を集める(0/3) ワーグの大きな一団がアンヌーンディアの北部に移動してきた。北の古墳には奴らの犠牲者の骨が散らばっている。 ネイサン・ホッジスはホビット庄から訊ねてきた彼の友人のエイルワード・トゥックが、無事にアモン・ライスに着かなかったのではないかと心配している。ワーグに占領された古墳に散らばっている骨を回収するよう、ホッジスはあなたに頼んだが、彼はその中にホビットサイズの骨がないことを願っている。 目的2 骨をネイサン・ホッジスのところへ持っていく ネイサン・ホッジスはアンヌーンディア南部の西にあるアモン・ライスにいる。 ネイサン・ホッジスはあなたがワーグのもとからかき集めた骨を持ち帰るのを待っている。 報酬 固定報酬 金:8s50c 重装鎧(胸部):ホッジスの上着 経験点 経験点:――XP 攻略情報 ―― コメント/ヒント等 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4987.html
一 長門 「ジャー」 蛇口から出る水は澄んでいた。澄んでいて、透かして見ると、校庭が歪んだ。水の打ちつける音が心地よかった。久しぶりに転んだ、傷跡に当てて、滴る水を見つめた。温い水だった。 校庭には、砂が舞っていた。皆が蹴り飛ばす砂を、夏の、日かげやトンネルを通ってきた風が、更に上へと飛ばす。肩を撫でるように、服の中に入ってきて、消える。気持ちのよい、掴めるようで掴めない。羊水のように滑らかな風だった。 また、メートル走に参加する気にはならなかった。俺は、大きくもない傷を見て、絆創膏で隠そうと、暇つぶしがてら思い、保健室に行こうとした。校庭を眺めても、ハルヒはいなかった。彼女の走る後姿を見てから行きたかったが、俺は校庭に背を向けて、昇降口へと向かった。 途中、中庭に寄った。木々の梢が揺れる音が、子どもの頃のように、頭上遠くに感じられたからだ。見上げてしまったら、その幻覚というか幻想が、消えてしまうような気がして、俺は前を見た。 中庭の真中にある、少し寂しい木の下に座って、空を見上げた。校舎に切り取られた空は、広く晴れている。何か考えることがないか、探し始めたのは、暑かったからだ。木の下に座っても、影は俺に当たらない。日は真上にあった。風は微動だにしないし、とても暑いのだ。 頭を二の腕に乗っけて、もういちど空と木と、校舎を眺める。音が少ししたな、と思うと、それは白い、猫だった。猫は中庭をぐるりと回り、枯れた紫陽花の前で、眠った。そういえば俺も、昨日はろくに寝ていないからとても眠いのだ、と気づく。次は昼食だから、眠ってしまっても平気だろう、俺は瞬きを何度かして、目を閉じ。 闇の中、どんな夢を見ようか、と考えた。外界では、遠くで蝉が鳴き始めたようだ。蝉、かそうだ。部室の夢を見よう。そうだ、ハルヒがいて、カーテンが部室に影を作っていて、たまに吹く風が、部室の空気を変える。遠くで蝉が鳴いていて、空気はセピアに灰色を混ぜたような、綺麗な色をしている、、。 もちろん、俺には、見たい夢を見られるなんて能力はない。が、寝るまでに考えた人が、夢の中に出てくることはあったのだ。夢の中では孤独なことが多かったから、だれかが出てくると嬉しかった。 まだ眠れない。どうしたら眠くなるだろう。と軽く考えてみる。歩いてみようか。歩くリズムは寝るリズムと似ているはずだ。そうだ、部室から出て、だれもいない廊下を歩いてみるんだ。ハルヒを右にして。よし、眠くなってきたぞ。 彼女と手を繋いでいたいと思う。 夢の中でも繋げないのは、まあ当たり前と言ったら当たり前だが、俺がまだその感情を、言葉にしていないからに他ならない。 言葉にしていない。いや、できないのである。いまのところ。 例えば長門が、俺に言うかもしれない。早くハルヒの手を握らないと、誰かが悲しむことになる。長門はもう、好きの「す」ぐらいは言ってくれているのだ。「す」で止めたのは、急かしているということだ。 このまま寝てしまったら、夢に長門も出てきてしまうだろう。起き上がって、保健室に行こうとしたとき、チャイムが鳴った。それさえも。俺を急かしているような気がした。 好きだなんて言えるかな?夏休みが始まる前に言わなければ、長門は俺に告白してしまうかもしれない。 、、なんでこうなったかって?そうだな、今日は7月の15日なんだが、10日、長門と一緒に帰った日、雨が降っていて冬ぐらい寒かった。暗かったしな。俺が前だったからわからなかったけど、長門は寒くて震えていたかもしれない。 なんで遅くなったか?勉強していたのさ。図書室で。テストが酷くて、だ。終わってから勉強する奴もそう少なくは無かったよ。暗がりの中雨の降っている様子を、見つめている時間のほうが長かったかもしれないけども。黒いレインコートが濡れて。いやにべたついた日だった。 図書室に行く途中、廊下で長門に会ってな。じゃあな。って言って、暗い廊下を歩いたんだ。蛍光灯の光も絶え絶えで、心もとない廊下だった。図書室は明るかった。俺は窓際に座って、問題用紙と解答を見比べて、ため息を吐いた。 まだ六時ぐらいだから、二時間ぐらいはできるな。と思った。俺は教科書を開いて、最初は何処を見ればいいのかさえわからなかったんだが。なんとか焦点を合わせて、頭に入れようとした。 隣に誰か座ったようで、何でわざわざ、こんなところに座るんだ?という疑問と、八つ当たりに近いような嫌悪の顔を向けたんだ。それが長門だった。すぐに表情をもとに戻して、彼女が口を開くのを待った。 「ここ」 「え?」 「ここ座っていい?」 「もちろん。どうした?帰りたくないのか?わかるよ。俺も帰りたくねえんだ」 (あんな殺風景な家だものな、フローリングも、冷たいんだろう) 「、、うん。いつ終わるの?」 「八、、いや七時ごろさ」 「待ってる」 「用があるなら今聞くけども」 「いい。待ってる」 「じゃあ帰ろうか。別に家でやってもいいんだし」 「いい。待ってる」 そうか。そう言ってくれるとありがたい。美少女横に勉強するなんて、全国の男子の憧れだものな。隣で読書する彼女だが、近い。彼女の服が、何かの拍子に、右肩に触れる。もちろん、離れてくれなんて言う意味もない。 ゆるりゆるりと時間が流れて、時計が七時に触れるか触れないかの時、長門が何か言うかと思ったが、言わなかった。彼女の肩の温もりが、そのことを肯定していた。俺達はそうして、黙って八時まで居続けた。家に電話していなかったから、してこようかと思ったが、それは部屋に誰もいない彼女に酷なような気がして、そのまま座っていた。 「、そろそろ、行こうか。もう、閉館だから」 「うん」 俺は傘の無いフリをした。彼女の傘に入れてもらおうと思ったのだ。 「、、、あっ、やばい。傘無いかも、、。」 「私もない」 「あっ、あった」 寸劇である。彼女のからだが、折りたたみ傘にちょうど入るというのは、なんだか不思議だった。彼女は黒いレインコートのすその中で、早足で両足を動かす。速すぎたかと思い、歩幅を合わせると彼女はそのまま傘から出て行きそうになる。振り返って不思議そうな顔している彼女の目を見て、聞いた。 「で、用って?」 「すき」 、、、、とまあ、こういうわけである。 「、、?キョン、何うだってんのよ」 「うだってなんかいません。悩んでるんです。」 「何を?」 (お前と長門のことだよ) 「そうだな。お前、好きな色はあるか」 「そうね、黒と青ってとこかしら」彼女は空を見ながら言った。 「どっちが好きだ?」 「どっちも好き」 「だろう。でもどっちかって言ったら?」 「青ね。」 「そういうことだ。」 「なによ?」 「でも黒が好きな日だってある。だけど大体、青が好きだ。そういうことだ。」俺は机に顔を伏せて、聞こえないほどの小さい声で言った。まあ、答えにはなっていない。 「、、選べって言われると、難しいのよね」 「そうなんだよなあ。ほんとにな」 「でも、お前と一緒にいる時のほうが、空の色は鮮やかなんだ。それはお前を好きだってことなんだよ」これも聞こえない。 「え?、、、あ、そうそう。夏休みのことなんだけど。」 「なに?」 「なにかしようと思ってるんだけど、何がいい?」彼女は、青色のペンを回しながら言った。 「絵画鑑賞とか」俺はハルヒと美術館を歩く想像をしながら言った。 「そういう個人的なことではなくて」 「山に行きたいな」とまあこれも、ハルヒと湖畔を歩くという想像をしながら言った。 「海の後は山か。単純ね」いいだろ別に。ああ、暑い。俺にとっては早く告白することの方が重要なんだよ。 「あ、そうだキョン、購買でパン買ってきて?嫌なら一緒に行きましょう」 なんだ?嫌だと言えとでも言うのか?弁士か。こいつは。 「よし。じゃあ一緒に行こうじゃないか」 「何よ、大げさね、気持ち悪いわ」 確かに気持ち悪いな。俺、弁当あるし。 と、立ち上がった二人の後ろから、俺を呼ぶ声がした。振り返る前から誰だかわかっていたので、二人で思いっきり怪訝な顔を向けて見せた。 「な、、なんだよ?なんでそんな顔で見るのか、まず俺に教えてくれないか?いや、まず自分から名乗れというものな。実はだな。キョン、お前に用があるんだ。何?かいつまめだと?まあいい。」 「で、なんだよ谷口」 「夏休みに俺達と、海に行かないかというお誘いなんだが。」 「ああ、それなら。」 「いやちょっとまて、最後まで聞こう。安いんだぜ。知り合いのとこだからな。いや、フナムシなんて出ないっつうの。そりゃ小さいとこだけども、まあ10日間ぐらい。サーフィンさサーフィン♪」と谷口は腕で波を作りながら言った。 「キョン、十日なんてだめよ。まだ決まってないんだから。」 俺は谷口の揺れる手を見て、少し行きたくなった。サーフィンということばが波打つ。しかし彼女は俺の袖を掴んでそう言うのだ。俺は幸せだな。と思った。だってこんなに、すかれているんだからな。 「悪いな。即答は出来ない。誘ってくれてありがとう。今度また話そうぜ。」と俺も、波をつくりながら言った。ハルヒの顔が少しほころんだ。 「んじゃ。後日また。お!おいおい。川西!話があるんだが、サーフィンさ♪」 「、、、出稼ぎかしら?」 なんだか嬉しい。彼女が俺を止めてくれたことが。俺は先に購買へと歩きだした。木漏れ日を更に拾う小さい窓の光が、妙にキラキラし始めた。 波、か。 恋の気持ちは波に似ているのかもしれないな。なんて当ても無く、思ってしまうほど、気持ちのいい。 絶えず波打って、いつも綺麗な波音を立てる。引いたかと思うとまた、引き寄せ、たまにとても大きな波となる。 「うふふふ」 「、、、?何笑ってんのよ?気持ち悪いわ」 「うふ、ああ、ゴホン、いや、こうしてお前と歩くのもいいなと思って?」半ば顔をハルヒじゃないほうの天井へ向ける。 「、、、そうね」 彼女の胸を見る。いかにも健康そうに見えた。彼女はあまり、顔は赤くならないようだけど、目で、表情がわかる。季節のような、いや季節をまた細かくわけたような、沢山の綺麗な目を持っている。急に空気が質量を持ち、歩きがギクシャクし始める。手が動かなくなって、足だけ動く。 パンを買う順を待つ二人も、うまく動けなかった。もちろん?俺は意味のわからないパンを買ってしまったし、ハルヒは更に意味のわからないパンを買ってしまった。 甘いパンを昼食にすることなんて今まで無かったのに、その日中庭で食べたパンは、樹液、木の涙ほど甘かった。 そして、いつのまにかSOS団は、谷口の叔父の経営するその、なんとかとかいうなんとかに行くことになっていて、、、ああ、サーフィンだサーフィン。俺はハルヒと一緒に、レジャー用品店でデートをした。彼女にももしかしたら、それまでに付き合っておきたいということがあったのかも、しれない。だって彼女は何も買わなかった。 で、問題は次に移るのさ。また長門がでてくる。 そのレジャ店に行った日が土曜日で、次の日が長門と図書館に行った日。エロゲの主人公みたいな生活してるな。って?ばかやろう俺は、もうハルヒ一筋と決めていたんだ。 といっても、そこにはハルヒもいた。むしろ全員いた。けどなぜ、長門と行った、と言ったかと言うと。長門のことしか覚えていないからだ。 名目としては「準備」だった。がハルヒと俺はもう準備をしていて、長門もそうらしかったので三人で図書館に行ったんだ。勉強もしたかったしな? 四人がけのテーブルに座る。そしてハルヒが俺の隣に座る。悲しい顔をする長門は前に座っている。俺はそれは冷たい目で、彼女を見てしまっていることに気づいた。でもそれをやめたらまた、グダグダな関係が続いてしまう。 俺はな、長門が好きだが、彼女に俺を諦めさせてから、ハルヒに告白したかったんだ。だって卑怯じゃないか?保険とっておくようなもんだろう。でも少し、かわいそう過ぎたかもしれないんだよ。 なんて、実は言い訳なんだ。俺がただ長門に一言ごめんといえばいいことなのに、俺はハルヒと一緒になって、二対一で彼女を責めた。まあハルヒは知らなかったのだから、なにしろ俺がいけないんだ。 俺は英語の解答用紙を見せて、二人で勉強をした。まあ、勉強してんのは俺だけではある。 長門は本を読んでいた。心なしかページを捲るペースが遅かったのは、気のせいではないだろう。 彼女が本を変えに席を立ったとき、緊張のほぐれもあったのか俺は尿意を催して、トイレへ立った。日曜日の図書館はとても静かだが、冷たさは無く、日差しも勉強にちょうどいいと言った風で、沢山の生徒らしき人たちが、席を埋めていた。子ども連れの親子もいて、和やかな空気が感じられた。 トイレから、受付の前を通って、席へ戻ろうとしたとき、二階に上がる長門の姿が見えた。二階には重要図書が貸し出されていて、重そうな本が、重層な空気を作っている。俺は気になって、彼女のところへとついていった。階段を上ると、大きな窓から町が、学校が見えた。 二階には人が少なかった。受付も初老の男性がこなしていた。一階よりも窓は多いようだったが、何故だかブラインドが途中まで閉められていて、一階より暗い。 本棚には、厚い本が多かった。本棚が連続していて、大きなスーパーのようになっていて、遠くまで見渡せる。 順にその列を覗き、一番奥の本棚の列を覗くと、奥に長門がいるのがわかった。俺は廊下のようなその道を歩いて、埃の匂いのする空気を吸った。 半ば早足になったのは、俺が焦っているからだ。テンパっている。長門は邪魔な牌だから、切らなくちゃいけない。 なんて思いながら。歩いた。彼女はあちらに顔を向けていたので、俺にはわからなかったのだが、目から涙が零れていた。 その液体をどうにかしようと、彼女は袖を濡らしていた。俺の胸で拭いてやりたかった。本棚に追い詰めて抱きしめたかった。俺も少し泣きそうになった。こんなにいい娘を抱きしめられないことが切なくて。 でも、ハンカチを貸すことぐらいはできる。まだ汗の拭いていないきれいなハンカチだ。 「あ」長門がこちらに気づいた。目を紅く、涙を流したままにして、こちらを見つめた。驚きの表情だった。俺はハンカチで涙を拭った。彼女はその布の暖かさに、氷の少しづつ溶けるような様子で涙を流した。彼女が抱きついた。俺は、自分のズボンを握り締めた。爪が手に刺さるほどつよく。搾り出されるようにして出たのは、こんな言葉だった。 「、、、、ごめんな」 「なにが?」 言葉にするのはいけない。少し周りを見渡しながら、言葉を選ぶ。 「夏なのに、寒いな、ここは。」 話を逸らすようにそう言うと、長門が俺の手を掴んで、本棚に追い詰めた。棚が腰にぶつかって痛かった。本が一冊落ちた。 「、、、、うるさい」 「ごめん、、、、、、、な」 そのとき俺はもう、謝ることしかできないんだ、と悟った。 「ついてきて」そう言って彼女はその少しだけ熱い手で俺を掴んだ。受付の叔父さんはスルーしてくれたようだが、図書館から出てまぶしい日の下に出ると、蝉の音さえもが俺を見ているように感じた。彼女が俺をどこに連れて行くのかわからないが、どこでも、いい気がした。 「どこ行くんだ?」 「黙ってついてきて」 ハルヒのことが心配だったが、そんなことは言っていられない。ここはどこだろうと思うと、長門の家に向かう道だった。 雲はひとつも無いから、俺は暗い気持ちが無かった。彼女の手に足をまかせ、木や建物やらの影を見て歩いた。 階段を上って、彼女の部屋に入った。テーブルの上には本が重ねられてあって、フローリングの冷たさが心地よい、海の近くのような空気だった。 彼女はカーテンを全て開けて、少し離れて座った。体育座りが可愛い。彼女の着ている、少し硬い質のスカートがくしゃくしゃに折れて、切なかった。 俺はというと、出された麦茶のグラスを覗いて、外の空と見比べるばかり。どちらから話せばいいかわからなかった。その部屋には息重い不思議な空気が流れていた。 妙に部屋が広く感じられたのは、昔の自分に戻ったからだろうか。なんだか懐かしい、切ない情景が長門の部屋と重なっているのかもしれなかった。 「なぜ」といって彼女は、溢れることばを制御するため少し間を開けた。 「わからない。どの本にも、書かれていなかった。誰も教えてくれない。どうして彼女がすきなの?どうしてわたしに、つめたくするの、」 言葉がでなかった。麦茶を飲んでいたからだ。そしてそれを飲み終わったとき、俺は口を開いた。彼女の真摯な目にまっすぐ目を向けて。後ろにある寂しい壁も見つめて。麦茶のいがらっぽさが口の中に残った。 「、、ごめん。好きなんだ」彼女にとって一番、わかりやすい答えだと思った。自分と重ね合わせればきっと、俺の気持ちもわかるだろう。 彼女は近づいて、俺の目を覗いた。俺は知らぬ間に、優しい目をしてしまっていた。彼女が勢い余って、俺の胸に飛び込んできてしまった。がしかし厳しい目など、できるわけもない。俺はヘタレだから、何もしないでいることしかできない。 「わかってる。そんなこと」 「ごめん」 「謝らないで」 「いや、俺が悪いんだ。ごめん」 彼女はまた少し離れて座った。俺も佇まいを正した。ベランダの日は少し傾いて、フローリングに斜めの模様を作る。季節が変わるように、音の無い目に見えない間が開いた。俺は頬を掻いた。 「あなたは、一つ勘違いをしている」 「、、、俺は一つ以上してる気もする」 「私は、あんなことされても諦めない。あなたがふられても、あなたが彼女と一緒になっても、同じ。これは、もう決定している。あなたは私のことを考える必要がない。私は。あなたが私を好きになる日を待つだけ。」 「私はあなたが好き。それだけ」 「そうか。ありがとう。」 「なにが?」 「そんなに俺のこと好きになってくれて」 「、、うるさい。もう、優しい目をしないで。今日は出て行って。もう図書館が閉まる。」 「ありがとな。、、、ごめん」 玄関を閉める。俺の後姿は少し彼女に、かわいそうだったかもしれないと思う。でも俺は、街を見下ろしてから、大きく息を吸って、階段を降りた。まち全体が赤みがかりはじめていた。 長門と二人で歩いた道を戻る。夕日がどこかの山に落ちようとしていた。俺はめぐりの早い最近の出来事を思い出して、大きく息を吐いた。 ひとつの家のアンテナが、夕日を妙に反射していた。どこかの煙突から煙が出て、それを鳥が吸っている。ものかなしげだった。 でもその紅い光は、俺を包み込んでくれるような気がしたんだ。 二 朝比奈さん 電車が来て、風が彼女の髪を揺らした。彼女って誰?って?もちろんハルヒさ。 で、俺は、いまだ告白できないでいる。しょうがないさ。あの日、俺が長門の家から戻っているとき、ハルヒが俺を探しに来て、、、。弁解の様子が気に入らなかったらしく昨日まで話せもしなかった。悲しいかなそういう免疫はないんだ俺達には。 今日は夏休みが始まって六日が経った日だ。暗黙の時効らしく彼女は昨日意味の無い電話をかけてきた。確認ということだった。明日はこうよねと口を尖らして言っているのが、電話越しにわかった。ありがたかった。 作戦など立てず俺は、もしどこか星空の綺麗な、または月が見えるような場所があれば、自然と言葉が出てくるはずだと思った。俺はただ彼女と一緒にいれば、いつか告白できるだろうという確実な自信があったのだ。 朝の駅は、昨日の夜溜まった倦怠感や不安を全てなくして、どこまでも続く空を思わせる透明感があった。駅には谷口、国木田のほかに団の全員が集まった。 谷口だけがアロハ。まあでも彼がいることによって、微妙な空気が消し飛んだからよかった。よかったのか? この旅は俺にとって大きなものになる。というのも、彼女が転校するからで、、。転校先はそう遠くないらしかったが、夏休みの終了とともに彼女は去るそうだ。それを聞いたのは終業式の日で。彼女はその日部活を辞めた。 まあだからしんみりした旅行になるのかと思ったが、アロハのせいもあり、ハルヒの努力は報われだんだんと、和気もあいあいとしてきた。俺はあまり衝撃を受けなかった。遠距離を恋愛の前につければいいだけだからな? 電車の運んできた風が終わり、俺達は席に座った。いずれこの窓から海が見えるのだなと思うと、心のワクワクが止まらなかった。 どこかでもう信じていたのだ。ハルヒは俺を好きだと。 彼女は俺の隣に座った。席はまばらにしか開いていなかった。家族連れが多く少し騒がしかった。それは更にしんみりとした部分を埋めた。 がたごとと揺れるたび彼女の肩に触れる。どうせならくっつけてしまいたいと思うのだが彼女は触れるたび律儀に離れてしまう。 行く先は曇り空だった。今すぐにでも大量の水が振り落とされてきそうだった。 彼女の目は少し腫れているようにも、見えた。それは悲しさで零れたものなのだろうか?わからなかった。 、、、旅館に着いて少しの時間が経つと、案の定雨が降り始めた。 俺は雨降りの中、ジュースを買いに知らない道を走っている。走りながら海を見るとなんともいえない迫力があった。灰色く、暗い。心揺さぶられるリズムで波を打っている。砂浜の鮮やかさは見る影も無く、そこだけ見たら絶望さえ感じる。 無用心だったと思うがもう手遅れで、俺の肩も冷え切っていた。 コンビニまでそう遠くないと聞いたが、どうも遠い。道を間違えているとは思えない。気分が重いから遠く感じるのかもしれない。とりあえず俺は上着を脱ぐと、着いて来た朝比奈さんに渡して、小さな軒下に待っているように伝えた。彼女は広げた俺の上着の下で小さくうなずいた。 早く傘を持って迎えに行かなければいけない。彼女の肩だって冷え切っているに違いない。遠くに長い看板が見えて、俺は駆け込んだ。上着の下はタンクトップだったから、半裸のずぶぬれ男が駆け込んできて、若い店員は少し驚いた。 ジュースと、あったかいお茶を二つ買って、買った傘を差してまた駆けた。傘は少し吹いている風に持っていかれそうになった。道路は長く暗く、もはや昼とは思えなかった。 朝比奈さんは座り込んで待っていた。捨て猫のようだった。俺は傘を、彼女を包むようにして差した。お茶を渡すと、少し大人っぽく笑った。その猫のような、狂気の寂しさを乗り越えるような強く儚い笑顔で、俺を見る。彼女からはもはや肉の匂いがしていたと言っても過言ではない。肉というか胸の匂い。柔らかく包むような少し粘っこい匂いがした。 「ありがとう」 早く帰らなければいけないが、二人が一つの傘に入っていくには少し強すぎる雨だった。こうなるなら傘を二つ買っていけばよかったのだが、朝比奈さんに余計な気を使わせてしまう。 小さな軒下の中から二人で、雨と道路と海を眺めていた。小さな傘に肩を寄せて座る二人はまさに、捨て猫のようだったろう。閉められたタバコ屋のシャッターに寄りかかるととても冷たかった。体育座りをすると、彼女の短パンから足が見えてしまって、なんだか悲しかった。 雨は止みそうにない。俺達は、裏通りを歩いて、雨宿りに適した場所を探す。すると小さな四角い公園の中に、場にそぐわない大きなすべり台があった。更に悲しい場所のようだったが、仕方がない俺達はその下に座った。お茶で手をかじかまないようにした。 泥がぐじゅぐじゅに踏み潰されて、その上に雨がいく度も打ちつける。雨の匂いが公園中に蔓延していた。 彼女がお茶を飲んだ。首筋に雨粒が流れた。飲み終わると、白い息をふうっと吐いて、いつもの調子で話し始めたが、肩が少し震えていた。 「降られちゃいましたね」 「そうですね。寒くないですか」 「えへへ、、。大丈夫です、、。」 鉄板、、。滑り台に打ちつける雨音は、激しいリズムを奏でていた。それは心臓の音を思わせるのか俺は、彼女の冷え切った体が気になって仕方なかった。ポケットに入っていたハンカチを渡すが、彼女は先ず俺の体を心配した。大丈夫だと言っても聞かないので、無理やり頭を拭いた。年上ということで余裕を見せていたのかもしれない。俺は髪の毛をぐしゃぐしゃに拭いた。案の定、冷たかった。 抱きしめたいのに抱きしめられないといったほど切ないものはないのかもしれない。俺は彼女の恥ずかしがる顔を見て少し悲しくなっていたのだ。 「どうぞ、拭いて下さい」と言うと彼女はやっと観念して、自分の体を拭き始めた。どんどん彼女の汗で濡れていくハンカチを見るのは精神衛生上悪くなかった、、、。いやもとい、悪かった。 体を温めようと、俺達の肩はくっついた。することもなく、ジャンケンをしていると、そのうち賭け事になり、負けた俺は歌を歌った。そのうち体も暖まってきたが、彼女はなんだかまだ寒そうにしている。どうしたものかと飲みかけのお茶を渡すと、彼女はそれを一気に飲んだ。そうとう寒いのだろう。彼女の頬は少し赤くなっていた。 「朝比奈さん、目を瞑って下さい」 「はい?」 「そして手を広げて、左を向いてください。」 「はい」 「すいません。失礼します」 「きゃあ!」と彼女は怯えた声を上げた。お姫様抱っこだ。 「な、ななな、なにするんですか」 「それで俺の上着を被ってください。じゃあ行きますよ。朝比奈さん」 「はい」そういって従順にそれをする赤い顔に、キスをしたくて仕方が無かった。彼女の目に否定の色はなく、目が合ったまま静止した。 俺はそれを振り切るように走り出した。 谷口のその、叔父の経営する旅館は、畳を無造作に並べてあるだけといった印象だったが、妙にそれがわくわくさせる。外観は小さいものの、部屋は大きく、家庭の温かみを感じさせた。息を思い切り吐いてから、階段を駆け上がった。 玄関は広く、叔父さんが座って台帳なんかを見ている。海が見える二階には少し広いお風呂があったりもするのだ。安くてうまい。それをさらに安くしてくれるんだから、谷口には感謝しきれない、、、。と思ったが夜、二人部屋の部屋に四人で寝ると知ったときには閉口した。 さて朝比奈さんを部屋に送って、用意をさせて風呂へと連れて行く。ふらふらとしていて不安だったから、ハルヒを探して、様子を見てもらうことにする。 探すまでも無いハルヒは、男の部屋で談笑していた。みんなは俺の姿を見て驚いた。ご乱心だと思ったそうなのだ。こんな日に海に入るわけ無いだろうが!と突っ込むと、皆が安心した。 「雨に濡れたんだよ。おい、ハルヒちょっとこい」 ハルヒを廊下に呼び出して、ことこまかに話す。多少の弁解があったのかもわからない。なんだか焦った話し方になってしまっていたのだ。 「大丈夫?キョン」 「ああ、俺も風呂に入るから。」 「私は入らない」 「そうか」 「ふたりの服を洗濯してあげるわ。どうせ変えの短パンなんてないんでしょう?」 「いや、俺のはいいよ。ほら、その」 「いいのよ遠慮しなくて。パンツ以外なら平気よ」 体ごと風呂に入ると、ため息が漏れた。上を見上げると、女風呂と繋がっていることがわかる。知らぬ間に俺は耳を澄ましていた。ハルヒと朝比奈さんが話す声が聞こえた。くぐもって響いて、聞きにくかった。どうやら朝比奈さんは冷えがなおり、ハルヒが出て行ったようだ。俺は大声を出して朝比奈さんを呼んだ。湯気が顔に当たり、耳を暖めた。 「はーい」 「大丈夫ですか」 「はーい」 どうも、嫌な間が続いてしまった。二人きりなのだということに気づき少し戸惑った。さてどんな話をしようかと考え、窓の外を見る。がまだまだ暗いままだった。雲と水平線の間にはやっとこ晴れが見えたが、雲がどこまで続いているのかは全くわからない。 「キョンくーん?」 「なんですか?」 「さっきはありがとー」 「いえ」と言うが、それはヒノキに何度となく反射し、オヤジのうめき声のようになった。 彼女とはなんとなく、嫌な、気恥ずかしい余韻があった。俺はどうも、それに耐えられない。 「キョンくん?」 さっきとは変わり少し優しく静かな口調で彼女は言った。ただごとではない、真剣で感情の籠もった声だったので俺は更に耳を澄ました。 「なんですか」 答える俺の声も少し、ひそひそ話しをしているような雰囲気であった。間違いなく、ここでする話ではないように思われた。 「涼宮さん、行っちゃうそうですね」 その声は反射し、どの角度からも俺めがけてやってきた。 「キョンくん、いつまで、このままでいる気なんですか」 俺は心底、驚いた。 「キョンくん、あなたに言いたいことがあるんです。私はね、そういう優柔不断なのはいけないと思う。そうやっていつか、いつかと先送りにしていると、いつまでもできずに終わってしまうものなのですよ。」 俺はいつもとは違う口調の朝比奈さんの声を黙って聞いていた。 「わたしもね、そうなんですよ。ある人に、いつまでも言えずにいるんです。、、その人のことを考えてしまって、言えないんです。」 合いの手も入れられず、俺は途方にくれたような顔で、湯気が現れては消える様を見ていた。 「言おうとしたこともあるけど、いつも何か私に言い訳して、終わってしまうんです。自分の心が燃えていることもわからずに、いつも、いつも、いつも」 そのいつもという言葉に、いろんな思い出がつめられているんだろうな、と思った。 「そう、思い返してみれば、いつだって言えたのに。いつのまにかその人は、違う人を好きになっていて、、。」 「それでもまだ諦められずにいるんです。だけどまだ言えない、、、。」 「早くしてくださいよ、キョンくん、私まで辛くなってしまうんです。自分が言えずにいるみたいで、情けなくなってしまうんです」 俺は朝比奈さんを抱いたときの、感触を思い出していた。わけもわからずかわいそうで、抱きしめたくなってしまっていた。それは俺もまた、彼女の辛さがわかってしまうからかもわからない。なんにせよ俺は自分が情けなく思えた。そのまま、少しの間が開いた。 「、、、っごめんなさい、キョンくん。私が悪いんです。私が悪いんです、、、、、、、、、、、、。」 慰めあったって仕方ないことはわかっていた。わかっていたが、俺の腕は、彼女を抱きしめたくてしかたなかった。 「キョンくん、怒らないで、お願い。お願い。私が悪いんです、、。私が、私が、悪いんです。私が、」 「いえ、俺もどうしょうもないんです。俺、もうどうしょうもないんです。俺も、俺も、、、、、、、、。」 こうして二人は、幾たびも幾たびも輪唱し、晴れた後の木から大粒の雫が落ちたころ、やっと風呂を出た。 俺は、夕食の前に、晴れた海を見ておこうと思った。このままじゃ、旅行気分が取り返せそうもない。砂浜は硬くなっていて、夕日を見ている人たちがたくさんいた。俺は一人になりたかったので、ちょっと登ったところにある岬へ行こうとした。 海沿いの坂では、潮の匂いがした。岬の端にだれか立っていた。死ぬのかと思って少し、見ていたら、俺のほうを振り返った。逆光で少しの間見えなかった。果たしてそれは、朝比奈さんだった。 彼女は、いや、死のうとしているわけではないんですという風に、ピョンと崖から離れて、引きつった笑みを浮かべた。 俺はなんとなく彼女の横に立って、その夕日のほうを見た。ついて彼女も見ると、右の方から風が吹いてきて、彼女の髪を揺らした。 「キョンくん、さっきはごめんなさい」 「なにがです?」 「あんなに激昂してしまって。」 「いえ、全く、その通りでしたから」 「い、いや、そんなことないんです。ごめんなさい。ほんとに」 といって彼女は紅くなった。のだと思う。夕日に照らされた顔からはうかがいづらかったけれども。麦わら帽子のせいで、目から感情を読み取ることもできなかった。 戻ろうか、と言おうとしたその時、彼女がこちらを見つめていることに気づいた。 目が合うと、また海のほうを見る。 「キョンくん。すごいですね!」 彼女は必要以上の元気な声でそう言った。 「ほら、水平線が丸いですよ!人間の目で、地球が丸いってわかるんですね!すごいなあ」 そう言う彼女の肩は、少し震えているようだった。 「えへへ、、。ごめんなさい、私。まだちょっと火照ってるのかもしれません」 「いえ」 不意に風が強くなった。もう夜風の冷たさを持っていた。上空高くには、薄いながら月も見えた。 宿へと歩き出そうとした一歩で、朝比奈さんの麦藁帽子が、高く飛んで、その月を隠したと思うと、すぐ揺られ、崖の下へと落ちていった。下はほどなくして海だから、どこかへ流れていってしまうかもしれなかった。俺は、それを映画のワンシーンのように感じて、そっと傍観者じみた位置から見ていた。我に返った瞬間、帽子を追いかけて坂を下っていた。 下まで降りて、砂浜を駆けると、海に浮かんだ帽子が見えた。彼女も追いついて、それを見た。少しサンダルに、砂が入った。彼女は、もう諦めて、優しげな目でそれを見ていた。 「もういいです」 といって彼女は、宿に向かった。俺は彼女の、その白いワンピース姿の背中がどうにも、悲しそうでならなかった。俺は次の瞬間、全く迷わずに、上着と、洗われて間もない短パンを脱いで、海のほうへと駆けていった。 飛び込むと、水が大きく跳ねる音を立てた。海は温かった。どんどん海が深くなり、臍のほうまで水に浸かる。が俺は、ヒラヒラするパンツそのままに、帽子目がけて足を動かした。 後ろから、朝比奈さんの驚く声が聞こえた。が、知らぬふりをして、揺られるその帽子のほうに進んだ。 サンダルはもう脱げてしまった。俺はサンダル右手に、必死に左手を伸ばした。が、とろうとするとそれは、また遠くに行ってしまう。 もう、心臓が、海に全て入りこんだ。 口に、塩辛い水が入った。でも、俺は歩くのを止めなかった。 帽子の後ろには、大きな夕日があった。 波はどんどん帽子を持っていった。 「キョンくん、もういいですよ!」 そんな声が聞こえたが、もはやそれは朝比奈さんのためではなくなっていたのかもしれない。 もう泳ぐしかない高さにまで、波がやってきたとき、俺は本当に精一杯腕を伸ばして、その帽子の端をやっとこさ掴んだ。 、、、陸に上がると、朝比奈さんが、ハンカチを俺に渡してくれた。惜しげもなく、体中を拭いて、その帽子を彼女に渡すと、素直に喜んでくれた。 その帽子を置いて、すそを捲って靴を脱ぐと、彼女は海へと足を入れた。真っ白な服が夕日を透かし、それは紅いワンピースとなった。 やってきた波に手を入れて掬うと、俺のほうに放り投げた。そのときの無邪気な笑顔は、どの美術品よりも美しいように思われた。俺の首筋から胸へと、海水が流れた。 どうも悪戯っぽいので、俺は彼女の方に行って、お返しをする。足の下にはワカメがあった。 そのうち日が落ちて、月が映えるようになったころ、俺達は無骨な岩の上に座っていた。俺はノーパンだ。が、暖かい風が吹いていた。 「キョンくん」 「なんですか」 「私にとっては、これが最後の夏なんですよ」 「そうですか?これからだって夏は来ますよ?」 「、、、ばかですね、キョンくん」 「まあ、否定はしませんが、多分夏は来ますよ」 「あのねえ、、。あなた、恋愛小説読んだことないでしょう」 「まあ、ないですが?」 「、、。」 と言うと彼女は閉口した。ははは、俺が彼女に主導権をとらせるわけがないだろう。もちろん気づいていたよ。朝比奈さんが、俺に好きだと言えなかったこと。俺が優柔不断なのに怒ったのも、俺が好きだからだってこと。でも、俺は意地悪だから、言わずにいたのさ。知らないふりをしたのさ? 「あのねえ、キョンくん。さっきお風呂でお話したことあったでしょう」 「ええと、朝比奈さんの好きな人のことでしたっけ」 「そうですよ。その私の好きな人って言うのは、優柔不断で、いつまでも好きな人に告白できずにいて、私に近しい人です。誰かに似ていると思いませんか」 「ええっと、心当たりはないですね」 迫真の演技だ。俺は、彼女と月から見えない方に顔を向けて、堪えきれない笑いを少し吐いた。まあ楽しんではいるが、俺がもし、気づいているって言ってしまったら、彼女は俺に、怒りながら告白してしまったということになってしまう。それは少し、彼女に悪い。 「あのねえ、キョン君、私が好きなのは、わたしがすきなのはねえ、、。」 と彼女は少し口ごもった。が、ようやく、その、数ヶ月は溜めてきたであろう言葉を、吐いた。 「私は、あなたが好きなんですよ」 彼女の真剣な目を見てから、俺も真剣に見つめ返して、笑った。 「ごめんなさい」 とそういうと、彼女はすっきりした顔をした。俺が安心して、目を閉じて寝転がると、彼女は俺の唇にキスをして、月を背に旅館に向かって行った。 やわらかい唇だな、と思い、自分は負けてしまったと思った。やはり彼女は年上だったのだ。敗北だ。と、そう思うのであった、、、。 二日後、浜辺で花火をした。そこら中に人がいて、静かな場所を探す。しかし静か過ぎるところには、おかしなことをしているアベックがいて、、、。いい場所を見つけるまで時間がかかった。人々の輪の中に紅い火が見えて、恐ろしさも含んだお祭りのようだった。 そこにハルヒはいなかった。俺はふられてしまっていた。彼女は俺をふった次の日、用事があるといって去ったのである。理由は俺にあるとしか思えなかった。 帰ってから俺は彼女を諦めようと、そこら中を歩き回った。 一つ坂を上ったところに彼女がいるのが見えた。俺は走ったが、坂はあまりに急で、どうしても追いつけなかった。 、、、そして、冬が近づいた。 続? 読んでくれてさんくす。最後にはハルキョンにしようと思っています。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/725.html
212 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 00 26 23 ID wHKFQGU5 -------- 都内の国道に沿って続く大通りを囲うようにして存在する店舗たちの すき間を通り抜け、小さな路地を進んだ先。 そこにはいわゆるメイド喫茶と呼称される喫茶店があった。 喫茶店の中には4つのテーブルとカウンター席があり、カウンターの内側では 男性ウェイターがグラスを磨いていた。 その男性ウェイターの苗字は南と言う。 アルバイトの店員からは南さん、恋人である女性店員からは南君、と彼は呼ばれていた。 大学を卒業後、彼はこの喫茶店に就職しウェイターの制服に身を包んでいる。 彼の仕事は主に軽食の調理、レジでの清算、その他の雑務全般であり、 接客業務などは行わない。メイド喫茶でウェイターが接客をするのはおかしいから、 というのがというのがその理由である。 店内には彼以外の男性従業員の姿はない。男店長が事務所の椅子に座っているものの、 足首と椅子が手錠で繋がれている状態では出歩こうにも不可能であるため、 結果的に喫茶店の男性従業員は南しか姿をあらわしていない。 カウンターで業務をこなす南の横には、メイド服を着た女性が付き添っている。 南と彼女はこの喫茶店で出会い、告白も喫茶店の中で行われた。 彼らの仲の良さは、副店長の女性に「お二人の結婚式はこのお店で行いましょうね」と 言わしめるほどのものであり、営業時間中も二人は付き添ったままの状態である。 二人の姿は店内にいるメイド服を着用したアルバイト店員の目にも映っており、 彼女達の心に焦りと羨望の情を抱かせている。 南の顔は、殴られたあとのように少しばかり腫れていた。 恋人と喧嘩したわけでも、女性店員の着替えをうっかり覗いてしまって殴られたわけでもない。 仮に後者であれば顔を腫らすどころか、病院の白い天井を拝み続ける退屈な日々を 送ることになるかもしれないが、まあそれは置いておくとしよう。 南が顔を腫らしている理由はこの数日に起こった出来事にある。 その出来事が分類されるべきジャンルは暴力的なものになる。 いや、ここでは「あえて」、という単語を付け加えるべきか。 男性が南に果たし状を叩き付けたときの光景は、時と場所をわきまえれば美しいものに見えなくもなかったからだ。 213 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 00 27 21 ID wHKFQGU5 午後5時、喫茶店のドアをカランカラン、と鳴らして入ってくる男がいた。 その男の特徴を表現するならば巨漢、というものがふさわしい。 南よりも頭二つ分高い身長に、肩の筋肉の盛り上がりで異常に広く見える肩幅をして、 セカンドバッグかと思わせるほどの大きさの靴を履いている男だった。 男は挨拶をしてくる店員に会釈をするとカウンターに向けて歩き出し、カウンターの向こうで グラスを磨いたまま顔を上げない南を見下ろせる位置で立ち止まった。 男は何も言わない。南も次に磨くべきグラスを手にとっただけで口を開かない。 男がやってきた理由、それは南と戦うためである。 別の言い方をするならば、喧嘩をしにきたのである。 南と巨漢の男は知り合いである。南が大学に籍を置くと同時に身を寄せていた 格闘技研究会で、巨漢の男は南の後輩をしていた。 その格闘技研究会では主に格闘技に関する情報を集めることを目的としていたが、 南と後輩の男は自らの身で技の実践を行っていた。 技の威力・精度を高めるための鍛錬方法や、対人戦闘において留意するべき事項を 記録することを当初の目的としていたが、次第に目的が変わっていった。 2人はどちらが強いのか、それを証明するために組み手を行うようになった。 技の練度を重視する南と、力が全てと豪語する後輩。 意見の異なる2人がぶつかり合うのは当然のことだったのかもしれない。 学生時代の2人の戦いは、全てが南の勝利という形で決着がついた。 ただ力押しでぶつかってくる後輩が、優れた格闘センスを持っているだけではなく 相手の心理・弱点をつく作戦までとってくる南に勝利することは不可能だったのだ。 だがその結末は後輩にとって面白いものではなかった。 勝ち逃げというかたちで卒業した南を追って、後輩の男はこの喫茶店にやってきた。 南と戦い、勝利すること。後輩の男にとって、それが一番重要なものだった。 214 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 00 28 42 ID wHKFQGU5 「おに……こほん、ご主人様、ご注文はお決まりですか?」 立ち尽くす巨漢の男に声をかけたのは、メイド服を着て長い髪をポニーテールにした背の低い店員だった。 彼女がいかにも声をかけにくそうな男に声をかけることができたのは、彼女が巨漢の男の妹だからだ。 巨漢の男の名前は、剛と言う。 妹はたくましい兄のことを、『兄』としてではなく『男』として慕っていた。 いじめられたときや困っているときにいつも助けてくれた兄の存在は、 彼女にとって何よりも大きな心の支えになった。 兄と一緒にいるだけで彼女の心は安心感に包まれた。 彼女は次第に兄から離れることを嫌がるようになり、兄のとなりにいていいのは自分だけだ、 と考えるようになっていった。 兄に他の女が寄り付かないようにするため、彼女はさまざまは行動をとってきた。 自分の友人や兄の友人に、自分達が義理の兄妹であると言いふらしたり、 そのうえ2人の間に既成事実が発生している、ということまで捏造して言いふらした。 そんな妹に対して剛は困った妹だ、という程度の認識しか持っていなかった。 結果、2人は仲のいい兄妹として先日まで過ごしてきた。 しかし、妹はその現状に満足していなかった。 兄をいかにして自分のものにするか、という懸案事項は常に妹を悩ましていた。 剛は野生的な勘に優れているので、妹が不審な行動をとったらすぐに気づく。 睡眠薬や痺れ薬などの劇薬を食事に混入したときにはそれを口にしようとはしなかった。 力づくでものにしようと考えたこともあるが、兄に敵うほどの人間はそうそういない。 ある日、実の兄を無力化するための方法を考えながら、ぼんやりと路地を歩いていた彼女に声をかける老人が居た。 不思議なことにその老人は彼女の浅ましい欲望を全て看破した。 驚く彼女に向かって老人は、「君のお兄さんに○○というメイド喫茶に南君がいる、と教えなさい。 そして、君もその喫茶店で働きなさい。そうすれば、君のお兄さんは永遠に君のものになる」と告げた。 胡散臭い台詞ではあったが、その老人の言葉はなぜか信用に足るように思えた。 彼女は老人の言うとおりに行動し、喫茶店のアルバイトを始めた。 彼女の言葉を聞いた剛は、翌日には喫茶店にやってきて、南に勝負を挑むようになった。 それが今から8日前のことになる。 現時点で南と剛が再会し、拳を交えた回数は既に8回。妹がこの喫茶店でメイド服を着た回数も8回。 そして今日、彼・彼女ら3人を巻き込んだ事態は9回目を迎えようとしている。 215 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 00 30 24 ID wHKFQGU5 剛は手元に視線を落とす南のうなじを見下ろしながら、こう言った。 「ウェイターさん。いつもの、お願いします」 その言葉に込められた意味は店内にいる全員が知っている。 つまるところ、今から喧嘩をしましょう、という意味である。 その言葉に一番の反応を示したのは南の横にいる女性店員だった。 彼女は一度剛の顔を睨みつけ、次に南の苦い表情を見つめると手で顔を覆った。 また恋人が傷ついてしまうと思い、涙を流しているのだ。 南の顔に張り付いている痣は昨日喧嘩したときについたものだ。 ちなみに、おとといまで南の顔には傷一つついていなかった。 では、なぜ昨日南は不覚をとってしまったのか? その原因は自分の恋人の女性にあると南は考えている。 彼を責めないでほしい。自分の油断を恋人のせいにするのは彼にとって本意ではない。 しかし、勤務中かまってもらえないからという理由で、8日前から前例に無いペースで 精力を搾り取られている南の体力はガタ落ちしており、それが昨日の不覚を招いた。 昨日はかろうじて勝利を収めた南だったが、昨晩は泣き続ける恋人をあやすために 夜通し起きていたため、現在の彼のコンディションは赤一色に染まっている。 だが、南の体に宿る闘争本能は燃え尽きてはいなかった。 南の体の奥底から力が沸き始め、全身の血流を活発化させる。 彼はグラスを食器棚に納めて手を拭うと、肩を震わせる恋人の肩に手をやった。 「南君……」 「大丈夫。今日は怪我なんかしないからさ」 南は恋人の髪を撫でた。 言葉と仕草で彼女を励ますのが、南にできる精一杯のことであった。 喫茶店の前の路地で、2人の男が向かい合って立っている。 中肉中背の男は腕を垂らして構えを見せていない。 もう1人の筋骨隆々とした男は豪腕を見せ付けるように腕を組んでいる。 「眠そうですね、先輩。今日のところは日を改めましょうか?」 「慣れない敬語なんて使うな。いつもどおり喋れ」 「まあ、そう言わずに。僕の敬語を聞くことができるのは、これが最後なんですから」 南は目を閉じると、かぶりを振りながらため息を吐き出した。 「残念だが、お前が俺を敬わなくていいようになるには10年早い。 せめて言葉遣いだけでも馴れ馴れしくするのを許している俺に甘えろよ」 「それじゃあ、目いっぱい先輩の胸を借りるとしましょうか。 下手すれば借りたまま失くしちゃうかもしれないから、気をつけてくださいね」 剛は喜色満面の笑みをつくった。 その顔を見て南も笑おうとしたが、笑えなかった。 彼の心には、余裕など微塵もありはしなかったからだ。 216 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 00 32 11 ID wHKFQGU5 2人が戦いを始める合図は存在しない。 どちらからともなく襲い掛かり、殴り、蹴り、叩き伏せるだけである。 この日、最初に仕掛けたのは剛であった。 咆哮をあげながら全力で駆け出す巨体は、南の前に立ちはだかると、拳を振りかぶった。 人間のものとは思えないほど巨大な拳が向かう先は南の顔面。 その場に立ち尽くしたまま動かないウェイターは、殴られ吹き飛ばされる―― かと思われたが、悲鳴をあげて後退したのは殴りかかった剛であった。 見ると、南はその場から一歩踏み出した状態で右手を突き出している。 剛の打ち下ろしの一撃に合わせたカウンターである。 「ちっ……やっぱ無理か」 「そんなワンパターンじゃ、結果は変わらないぞ」 「さて? ……そいつはどうかな!」 剛は体をひねると、大振りの右回し蹴りを放った。 それは標的の首から上を吹き飛ばすためのものだったが、即座にしゃがんだ南には当たらない。 南は地を這う右足払いを放つと、体勢を崩した巨体の顔面を全力で蹴り上げる。 続けて放たれる足刀をみぞおちに受けて、巨体が地に伏せた。 冷徹な声が、せき込む巨体の男に投げかけられる。 「どうした? もう終わりか」 「っへへ……まだまだ!」 立ち上がると、剛は力任せの攻撃を繰り出す。 そのことごとくに、南はカウンターを合わせていく。振り回される拳を払い、かわし、急所をつく。 一瞬の溜めの後に放たれる前蹴りに対しては、体を入れ替えて前進し飛び膝蹴りを顎に穿つ。 長い間戦ってきた剛の攻撃を見切ることは、南にとってたやすいものだった。 決して油断できる攻撃ではない。直撃を受けたら骨の数本は折れてしまいそうなものばかりなのだ。 剛が立ち続ける限りその攻撃が止むことはない。 決着をつける方法はただひとつ。巨体が地面に沈み動かなくなるまで打ち続けること。 それすらもたやすいものであったはずだ――南のコンディションが万全ならば。 剛の放った右ストレート。その軌道もスピードも南の目には写っていた。 だが、ただでさえ神経をすり減らすカウンターは南の体力まで削っていた。 ストレートに合わせたフックが剛の顔面に当たる。だが、当たっただけで振りぬくまでにいたらない。 南の体力に限界が近づいていた。彼のスタミナに問題があるわけではない。 連日繰り返された恋人との情事によって、彼のスタミナはエンプティラインの目前にまで減っていたのだ。 217 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 00 35 03 ID wHKFQGU5 (あと一撃で決めないと、やられる) と南は感じていた。 自分が全力の一撃を放てるのは、あと一回が限度。ならば、渾身の一撃で剛を倒すしかない。 剛が左手を真横に振りかぶる。次の攻撃はフックだ、と南は見切った。 巨体のわずかなひねりを感じ取った南は、ためらうことなく右の拳を全力で突き出した。 ぐきり、という音が空気と右手の骨を通って脳に届いた。 確かな手ごたえ。これでまた、自分の勝利だと確信した。 目の前にいる剛の巨体が段々と沈んでいく。だが、そのときにおかしなものが見えた。 剛の口の端が吊り上って、顔が愉悦を形作っていたのだ。 (なぜ、笑っている――?) その疑問を浮かべた次の瞬間、南は内臓に衝撃を受けた。 呼吸が止まり胃が締め付けられ、喉の奥から生暖かいものが飛び出した。 たまらず顔を伏せた南の目に飛び込んできたのは、太い腕だった。 剛の太い腕の先端についた拳が、自分の腹筋に突き刺さっている。 (そうか――) あえて自分の最後の一撃を受け、至近距離での一撃を放つ。 それこそが剛の作戦だったのだ。 脱力して地に伏せた南を見ながら、剛は震える膝を押さえつけていた。 ここで立ち続けていれば、夢に見ていた勝利を掴むことができる。 倒れたら、きっと起き上がることはできない。この勝利はおあずけになってしまう。 だが彼の膝は勝利より、休息を一番に求めていた。 剛の膝が折れる。そして地面に張り付いたように動かなくなった。 動け、と強く念じても剛の腰から下が動くことはなかった。 しばらく間を置いてから、彼の背中が地面に着いた。 次第に、意識が遠くなっていく。 必死で目を閉じることに抗う剛の目に、カチューシャを髪に差した妹の顔が映った。 妹は泣いていた。ぼろぼろと涙を流して、自分を見下ろしている。 一粒の雫が落ちてきた。剛の目に向かって、まっすぐに落ちてくる。 その様子は、剛の目からはスローモーションに見えている。 目前に雫が迫ってきたところで、剛は目を閉じ――そのまま、彼は眠りに落ちた。 2人の戦いは、この日初めて相打ちという形で決着が着いた。 ------ 222 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 31 24 ID wHKFQGU5 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2人の戦いから3日が経った。 今、南は朝霧の立ち込める寺にて1人で座禅を組んでいる。 剛との再戦に備えて精神集中をしているのだ。 あの対戦のあとで南は2日間の有給休暇をとった。 それは体の傷を癒すためというよりは、恋人と一時的に離れることが目的だった。 剛との戦いで相打ちに終わった理由は、スタミナの不足である。 その問題を解決するためには恋人との情事を控えることが一番だと南は考えていた。 だが、後ろ髪を引かれる思いをしたのも事実だった。 恋人に2日間会えないということを告げたとき、彼女は世界の終わりが来たときに浮かべそうな表情をした。 立ち去ろうとしたときは、腰にしがみつかれて制止された。 それでも南は彼女を振り払った。一緒にいると、どうしても彼女を抱きたくなってしまうことを自覚していたからだ。 だからこうやって離れた土地にある寺にやってきたのだ。 今日は剛との再戦当日。久しぶりに喫茶店へ出勤することになる。 同時に喫茶店にいるであろう恋人にも再会できる。そう思うと南の心は躍った。 この2日間、南は恋人のことばかり考えていた。 すぐにでも帰って彼女を抱きたいと思っていたが、剛の笑い顔がその思いを止めた。 戦うたびに自分に倒されていた後輩。その彼の顔が勝利を確信した表情を浮かべたときの悔しさ。 それを思い出すたびに彼は自分を強く律した。 手元にある携帯電話が振動し、6時を告げた。 今から向かえば8時には喫茶店に到着する。 寺の住職に挨拶をしてから、南は愛用のバイクに跨った。 向かう先は、決戦場――自身と恋人が勤めるメイド喫茶。 周囲に立ち込める朝霧を乱さぬつもりでスロットルを回し、南は寺を後にした。 223 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 32 25 ID wHKFQGU5 ・ ・ ・ 喫茶店に到着したのは、まもなく8時になろうかという頃合だった。 店の壁に張り付かせるようにバイクを停めてヘルメットを脱ぐ。 そのとき、ヘルメットを被っているときには聞こえなかった音が耳に届いた。 音がする方向は、店内。そこから騒がしい音がする。 ドン、ドン、という太鼓を打ちつけるような音と、 「が、ぁっ、そんな、なんでぇ! があっ!」 という男の叫び声が特によく聞こえた。時折、女の声がそれに混ざる。 「あんたの……せいで、…なみくんが、いなく……なったの、よ」 聞き覚えのある声だった――というより、忘れられない声だった。 南の最愛の恋人の声である。 しかし、普段南が聞いているような声とは違った。 暗くて、耳にこびりつくような恨めしげな音階をしていたのだ。 さらに耳をこらすと、別の女の声もした。 「や、やめて…………おにいちゃんを、ゆるして……」 その声は最近入ってきたアルバイトの女の子の声に似ていた。 そう、たしか――剛の妹の女の子だ。 何かを打ち付けるような音と、男の悲鳴と、自分の恋人の声と、剛の妹の声。 それだけ整理しても、店内で何が起こっているのか分からない。 南は店内を望める窓から中の様子を伺って、次の瞬間目を疑った。 自分の恋人と、剛が戦っていた。 いや、一方的に剛が押されている状況は戦っているというより、リンチのように見えた。 剛が力なく拳を振り上げると、その瞬間に恋人の握る箒が動いて拳を突く。 メイド服のスカートが広がると同時に箒が回転すると、次の瞬間には剛は顎を打ち抜かれて巨体を揺らす。 その一方的な光景を涙目で見つめる少女は、剛の妹で間違いなかった。 剛が膝をついた。首はうなだれて、白いTシャツには血がこびりついている。 メイド服に返り血を付けた女が巨体の男のすぐ目の前まで近づいた。 右手には赤く染まった箒が握られている。その箒が彼女の頭上に持ち上がる。 左手で剛の顎を持ち上げると、箒の先端が剛の眼窩を貫ける位置に構えられた。 そこまで目にしたで南の足はようやく動いた。 勢いよくドアを開け放ち、店内に踏み込む。血の匂いが鼻をついた。 恋人の後姿を確認した南は、彼女を止めようとした――が、何をしたらいいのか思いつかなかった。 奇妙な感覚だった。 勢いよく迫るトラックを止める方法を探しているときのような圧迫感と無力感を覚えた。 その威圧感が最愛の恋人の体から放たれているものだと南が気づいたのは、振り向いた彼女の目に 狂気が宿っているのを察した瞬間だった。 224 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 33 42 ID wHKFQGU5 血に濡れたメイドは、恋人の姿を目にした瞬間に巨体の男から興味を反らした。 離れた位置にいるもう1人のメイドがそれを見て、必死な様子で巨体の男を奥に引っ張っていく。 小柄なメイドと血に濡れた後輩の姿が店の奥に消えた時点で、南は変わり果てた恋人に声をかけた。 「ひ、久しぶりだな」 「……ねえ、みなみくん。どこ、いってたの」 まったくと言っていいほど唇を動かしていない様子であったが、聞き逃すことなどできそうもない声だった。 「ああ、えっとだな……その……」 「……なんで、どもるの、みなみくん。 どうして、どうして、ねえ、ねえ、なんで、なんで」 首が左右に揺れると同時に、血に揺れたカチューシャのフリルも揺れる。ゆらゆらと。 「あ…………ち、違う」 「なにがちがうの。わたし、なにかまちがったこといったかな。 みなみくんがいなくなったのに、しんぱいしちゃだめかな」 血に濡れた箒は離さぬまま、にじりよってくるメイド服の女。 その女が自分の恋人だと南は理解していたが、足は彼女から遠ざかろうと後ろにさがる。 「なんでにげるの。わたしが、こわい、の」 「違う! 俺はお前のこと、その……好き、だ……」 「じゃあ、はやくおそうじしよう。ふたりでいつもみたいに。 わたしがゆかをはくから、みなみくんがガラスをみがいてね。 そのつぎは、ひとりがふたつずつテーブルをふこうね。 トイレそうじはそれぞれべつべつだよ。 さいごはカウンターのおそうじしよう、ね」 そこまで言い終わると、彼女は目を閉じて天井を見上げた。 「うれしいな、みなみくんに、好きだっていってもらえた。 ずっと、ずっと、ずっとききたかったのに、ふつかもきいてなかったんだもん。 でも、がまんしたかい、あったかも。いま、す、ご、く……ふふふ、うれし…… あはははは、うふふふふ、きゃはははは、くひひひひひ」 顔を天井に向けたまま、返り血を浴びたメイドは笑い出した。 その様子は、欲しかった玩具をようやく与えられた子供のように無邪気であった。 しかし、彼女から放たれる狂気が消えたわけではなかった。 狂気に気圧され、南は後ろにさがり続けていた。が、その背中がドアに着いたところで下がれなくなった。 来客を報せるためのベルが、カランカランと心地よい音を立てた。 「あれ……みなみくん、にげてるの。 そんなにとおくにいっちゃだめだよ。へんなむしがくっついちゃうよ。 みなみくん、かっこいいから、へんなおんながよってきちゃうよ」 「いや……逃げてるわけじゃなくて……」 「だめだよ。もう、わたしといっしょじゃなきゃ、そとにだしてあげない。 ずっと、ね。ずーーーーっと、わたしといっしょにいるの」 南は確かに見た。恋人の目の奥に宿る狂気と、闇がさらに濃くなっていく様を。 「まずは、おそうじ、しなきゃ、ね。みなみくんのからだを」 225 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 35 55 ID wHKFQGU5 白いエプロンに赤い斑点をつくったメイドが南の元へと近づいていく。 彼女はにこにこと笑っていた。狂気を宿した目を大きく開きながら。 ほっそりとした手が南の肩へと近づいていく。 その手には返り血がついているというのに、変わらぬ美しさを保っていた。 あまりに場違いな美しさだった。だから、南は無意識のうちにその手を払った。 そして、呆然とする彼女と勝手に動いた自分の手を見比べながら南は狼狽した。 「ごめん! その、つい……」 「……やっぱり、そうか。みなみくん、わたしからはなれちゃったからよごれちゃったんだね。 わたしにまかせて。みなみくんの、こころとからだ、ぜんぶきれいにしてあげる。 なかも、そとも、めんどうみてあげるよ。……だから、ちょっとだけよこになって」 南は警戒心を解いていなかった自分を褒めた。 もし油断していたら、恋人の箒に足を払われて倒れ付していたからだ。 振り回される赤い箒を避けるため、南は距離をとった。 距離をとっても彼女の放つプレッシャーが緩むことはなかった。 彼女の放つ威圧感は、店内全体を覆っていた。 そのせいでどこにでも彼女が存在しているような錯覚を南は覚えた。 「はやく、きれいにしなきゃ、よごれちゃうよ、みなみくん」 彼女の放つ一言一言がこだまのように聴覚を混乱させる。 南は眩暈を覚え、一瞬目を閉じた。次に目を開いたときには、恋人の笑顔が目前にあった。 頭を伏せる。すぐに彼の頭上を箒が通り過ぎた。 サイドステップでその場を離れ体勢を立て直そうとするが、目にも止まらない速さで 振るわれる箒はそれすらも許さない。 女の持つ箒は南の居た地点を確実に突いて来る。 鼻先をかすめる一閃は、一撃で気絶に至らしめてしまう速度で振るわれていた。 南がテーブルを盾にして構えた。ただの箒であればテーブルを破壊することなどできないはずだ。 ――と考えていた南の予想は別の意味で裏切られた。 テーブル越しに一度衝撃が伝わった次の瞬間には、南の体はテーブルごと後方に飛んでいた。 壁まで飛ばされ、背中を強く打った。 顔を上げると、メイドが箒を振り上げて駆け寄ってくるのが見えた。 振り下ろされる箒の速度を見切り、カウンターのタイミングを掴む。 そらした頭をかすめて箒が振るわれる。再度攻撃が来る前に箒を掴んだ。 「あっは、はははは」 しかし、振り下ろされていた箒は南の体ごと彼女の頭上に持ち上げられた。 自分の目に見えている光景の不自然さを理解する前に南の体は放り投げられ、床に叩きつけられていた。 南の頭の中はこの理不尽な状況を理解するためにフル回転していた。 恋人の突然の変貌と、手も足も出させない圧倒的な彼女の戦闘能力。 いかにして事態をひっくり返すか、それを考えても何も浮かばない。 濁流に歯向かう力は、攻撃を受け続けた南には残されていなかった。 226 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 38 25 ID wHKFQGU5 「お、そ、う、じ、しま、しょ」 床に伏せる南に対して、恋人の振るったバケツの中身がぶちまけられた。 透明な液体だった。顔を伝うその液体の粘度は水道水のものではなかった。 唇を舐める。すると苦味が味覚を刺激した。 「おい、これって、台所の洗剤じゃないか!」 「そうだよ。いまからおそうじするんだから、せんざいはひつようでしょう」 メイドは南の体をうつぶせにすると、両手と両足に手錠をかけた。 もう一度ひっくり返して仰向けにすると、手に持った箒をシャツの胸元からジーンズの裾まで挿入した。 南が何かを言おうとしたが、その寸前に彼の恋人の手によって箒が動いた。 箒の両端を掴み、一気に服を引き裂いたのだ。 彼女の腕力によってベルトの金具までが破壊されて、南は見るも無残な姿に変貌した。 「じゃあ、こんどはあわで、あらってあげるからね」 そう言うと、彼女は今度は自分の体にバケツの中身を被った。 そして身動きの取れない南の半裸の体にのしかかり、細かく動き始めた。 両手の五指をそれぞれ絡みあわせて、体を上下に動かす。 「わたしは、いまスポンジだよ。 よごれちゃったみなみくんは、こうやってあらってあげないと、いけないから」 実際にその通り、彼女の動きは南の全身をくまなく洗うためのものだった。 頬にほおずりし、腕・足を絡ませて、胴体をこすりつける。 仰向けの状態で全ての箇所を洗い終えると、今度はうつぶせにする。 背中に両手が当てられるのを南は感じ取った。 その手は肩の上から背中を通過し、臀部まで動く。 足の指は、さすがに彼女にも難しかったようだった。 だが、次に彼女がとった行動は南の予想を上回るものだった。 スカートに溜まった泡と洗剤を口に含み、南の足の指を咥え込んだのだ。 咥えるだけでなく、さらに舌までも絡めてきた。 指の一本一本を舐め回し、爪と指の間を舌先で刺激してくる。 その動きが終わった頃には、南の体で洗われていない部分などなかった。 ただ、一つを除いては。 227 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 41 00 ID wHKFQGU5 「それじゃあ、つぎはここだよ」 そう言った彼女の手は、さらけ出されている南の陰茎を掴んで上下になまめかしく動いているところだった。 先ほどまでの動きで彼女の体の柔らかさを感じていた南は、男性自身をしっかりと硬くさせていた。 その状態に加えられる恋人の絶妙な愛撫は、たちまちのうちに南の射精欲を高めていく。 「ああん……みなみくんの、にがくって、おいしいよお…… まいにち……ほしかったのに……んむ、ひどいよ、みなみくん……」 肉棒のすぐ近くで口を開く恋人の声が南の頭に伝わってくる。 それだけの刺激でも射精してしまいそうになるほど、南は高ぶっていた。 「もうっ……やばい……」 と、南が漏らした瞬間、恋人の愛撫が止まった。 絶妙なタイミングでの寸止めだった。 それは、付き合ってから先日まで培ってきた彼女の経験が成すものだった。 もう一度何かの刺激を加えられたら、射精してしまいそうな位置に熱いものがある。 物欲しそうにしている南の表情を見て取った恋人のメイドは、嬉しそうに笑った。 それを見て南は続きをしてもらえるのかと思ったが、彼女が手に持っている物を見て驚愕の表情を浮かべた。 「お前、それって……」 「さいごはあ、そうじきでーす。 しんぱい、ないよ。ちゃんと、すいこみぐちは、そうじしたし。 くちのおおきさも、みなみくんのと、おなじぐらいだから」 掃除機のスイッチが入れられた。 ヴィーン、という規則的な音が律儀にも店内の空気を振動させる。 「ばっ、馬鹿! お前、やめろ!」 「やー、だー、よー」 南の肉棒を包み込むかたちで掃除機のホースが入れられた。 先に恋人が言ったとおり、ホースは勃起した南の肉棒と若干の誤差を残して適応していた。 若干の誤差、それは南の陰茎と亀頭の大きさがホースの直径より少し大きかったということ。 そのため、ホースが上下に動かされるたびに南の肉棒は擦れた。 「が、あ、あ、ぁぁぁ……」 いきなりこのようなことをされたらたちまちのうちに肉棒は縮んでいくだろうが、 寸止めされた南の射精欲はまだ健在だった。 掃除機相手に射精してたまるものか、というせめてもの抵抗が南の全てだった、が。 「んふふー、……えいっ」 恋人が南の陰嚢を刺激してきた。 その刺激は陰茎とは別方向からのものであり、巧みな手つきによって南の自制心を崩していく。 「うっあ! 頼む、抜い、って、くれ!」 「だーーめ。おそうじはしっかりとしなきゃ、ね」 掃除機の出力が『強』になった。騒音がますます大きくなり、肉棒を強く吸引される。 その間も陰嚢の刺激が止むことはない。 執拗な双方向からの刺激が続くうちに、南の中にあるスイッチが強制的に入れられ、射精を迎えた。 射精自体は興奮からではなく、痛みの拍子に起こったものかもしれないが、南にとってはどうでもよかった。 掃除機に射精してしまったという事実が、南の何かを破壊した。 ――その何かは、人としての尊厳であったかもしれない。 228 :ヤンデレ喫茶の床に、血が落ちる ◆Z.OmhTbrSo [sage] :2007/05/05(土) 04 44 10 ID wHKFQGU5 ・ ・ ・ ・ ・ ・ それから数日が経ったある日。 都内某所にある大学の構内でこんな会話が交わされていた。 「知ってる? 格闘技研究会の、あのおっきいひと――名前忘れちゃったけど、退学したんだって」 「あ、そうだったんだ。最近見ないなって思ってたけど」 「でも、何で退学しちゃったのかな?」 「これは噂なんだけどね。大学に退学届けを出したあと、箒、箒、箒って呟きながら帰っていったらしいよ」 「なにそれ? 箒のお化けでも見たのかな?」 「意外と小心者だったのかもね。人は見かけによらないってやっぱりほんとだね」 「そういえばさ、その人の妹さんも一緒に退学したらしいけど、これ本当?」 「あー、知ってる知ってる。サークルの男どもが騒いでたよ。 うちの大学のミス・コンテスト優勝者が退学するなんて! って言いながら」 「もしかして、お兄さんについてってやめちゃってたりなんかして。 あー、いいなー。私も頼れるお兄さんが欲しかった。聞いてよ、うちの貧弱兄貴ってばさ――――」 ・ ・ ・ ところかわり、都内某所に存在する喫茶店にて。 「野菜ジュース、1つオーダー入ったぞー」 「うふふふふ……。かしこまりました、南君」 ヴィィィーーン 「ひいっ?!」 ガチャン! 「うわっ! どうしたんですか南さん。あーあ、グラス割れちゃったじゃないですか」 「あ……ごめん。つい、音に反応しちゃって……」 「音? なにか変な音でもしましたか?」 「いやいや! なんでもないよ。忘れてほしいな、なんて……あは、あははははは……」 喫茶店の床に血の跡がこびりついた日から、南はこんな調子である。 ミキサーの音に反応してしまうほどに彼の心を穿ったものとは何なのか。 事実を知るのは、当事者である南と彼の恋人と、店内を監視していた店長と副店長の四人だけである。 それ以外の誰にもそのことを知られたくないと、南は思っている。 同時に、自分の記憶からも消えてしまって欲しいと、強く思っている。 終 ------
https://w.atwiki.jp/pikumin_kouryaku/pages/473.html
「ピクミン2」でできる技。 普通にプレイしていてよくヘビガラス系やマンマン系に落とされる例がある。 アカヘビガラスで多く、頭が壁をすり抜けるためくっつけたピクミンをそのときに呼ぶと、壁の中に落ちる。 マンマン系では倒した後の動きで壁をすり抜け、またピクミンがくっつくので壁の中にいる時に呼んだら落ちる。 他にも一部の物で起こる。2の物を持った1匹目のピクミンがワープする仕様と関係がある。 壁に接しているときにピクミン1匹を物の近くに投げる。壁と反対側がよい。 そしてピクミンが壁の中にワープしたときに呼んだら、落ちる。 ピクミンが土のカベに入る小技はこれと同様にできる。 物が壁にめり込んでいるときに多めのピクミンを押し付けて(投げでも同じ)、なかなか運べないときに画面から消しても落ちやすい。 防ぐには紫ピクミンを使うしかない。呼んでも物は結局運べない。
https://w.atwiki.jp/utauuuta/pages/2271.html
えっぐたるとぱっとおちる【登録タグ え 曲 浮世P 雪歌ユフ】 作詞:浮世P 作曲:浮世P 唄:雪歌ユフ 曲紹介 和風エレクトロニカ 歌詞 エッグタルト、パッと落ちる そっと隅に投げて終了 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ つづきは後で 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ そのうち迷子 そんなことの くりかえし ストラップ、パッと決める そっと次をつけて終了 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ つづきは後で 追いかけたり追いかけられ 追いかけたり追いかけられ そのうち迷子 そんなことは もう飽きた そんなことの くりかえし 冬に紛れて 音が途切れる ビルの谷間に 雪のひかり コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/syakkinhensai/pages/4.html
借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com借金返済即日お助け隊com 借金返済即日お助け隊com
https://w.atwiki.jp/pokecaglossary/pages/104.html
握る(にぎる) 1.次のターンに使うカードを、手札に加えた状態を維持すること。 用例:進化カードを握っているのでそのままターンを終える。 2.デッキをトーナメントや対戦に使用する。 用例:明日の大会で握るデッキがまだできていない。 [タグキーワード] 対戦